ぐっとこらえて

ルールやターゲットに違いはあれど、どの国のノーズワークでも共通しているのが犬の「自主性」を培うゲームであること。犬が、ヒトの指示に従うのではなく、自分の力で(ハナ力)のみでターゲットを見つけていく。これは他のドッグスポーツ、訓練競技会(オビディエンス)とは大きく異なるポイントです。他のドッグスポーツはハンドラーの指示にいかに正確に、すばやく従うか、というところが特徴であるのに対し、ノーズワーク中にハンドラーは指示を出しません(あまりあれこれ指示を出しすぎるとジャッジから悪い印象を与えます)。

なぜなら!フードでもアロマでも、あんな小さな匂いをヒトが嗅ぎ取れる訳がないからです。ノーズワークの競技会では、ハンドラーはターゲットの場所を知らずに行います。犬が上手く探せなくて、どんなに助けを求められても、私達の退化したどんくさいお鼻では犬を手助け(鼻助け)してあげられません。ヒトに頼らず見つけてもらわねばならないので、普段からサーチ中に「ほらほら」「探して探して探して探して」など言いまくったり、無意識にターゲットの近くに誘導することばかりやってしまうと、大事な「自主性」が培われません。(注:他の競技が犬の自主性を損なうものであるという意味では決してありません)

今回の簡単な箱でのフードサーチでも、ヒトは視覚に頼って生きているので箱に入ったオヤツがおやつが見えている訳ですね(蓋がなければ。そして初心者のうちは、ヒトはどこにあるか知っている)。犬は視覚よりも嗅覚で生きている動物ですから見えないのです。そこでつい「ほらほら、あるでしょ、ほらっ」と指さしとかしてしまうとせっかくのハナトレが台無しです(´・ω・`)ここはぐっとこらえて、黙って見守りましょう。探せなかったとしたら、言葉や動きで教えるのではなく、難易度を下げて仕切り直してみましょう。そうやって自分のハナで見つけた経験が犬に「ぼくは、自分でできる!」という感覚を体験させてくれます。(「困ったらママが助けてくれる」ではなくね。)

という訳で、ノーズワークは犬の自主性を培うドッグスポーツですが、人の「ストレス耐性」を培うスポーツでもあると考えます。

ついつい、教えたくなる気持ちをぐっとこらえて、その気持ち悪さに耐えきることができるストレス耐性を上げることが現代社会を生き抜くミソかもしれません。(ノーズワークトレーニング以外でも、子供の教育、仕事、その他諸々に関しても、「求めてないアドバイス」をしてくる人間がいかに不快か、経験がある人も多いはず。)

トレーニング中のそのストレスとは、私も日々戦っておりますよ…。

ちなみに今回のフードサーチをしていた箱を使って、アロマ(芳香蒸留水)をターゲットにしてボックスサーチを行うとこんな感じになります。「グッド」の言い方がオヤジ臭いですな。わはは。

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