犬のしつけ、練習したけど上手くいかない

犬に指示を学習させるときに飼い主が陥りやすい点のお話です。※ここでいう指示とはコマンド(おすわり、ふせ、マテ…等)のこと

何かを教えようとした時に、目標となる完成型(ゴール地点)は何となく頭に思い浮かべていると思います。でも犬にとっては本能に基づかない無意味な行動なので、何もしらないまっさらな状態です。ありがちなのは、そのまっさらな状態の時に、いきなり完成型の練習を始めようとしてしまいます。

また、私から「最初はこのステップの練習をしましょうね、できるようになったら次のステップの練習をしましょうね~」などと言われても、どうしても完成型に近い形を求めたくなってしまい、ステップをすっ飛ばして何段飛ばしも先のことを良かれと思って練習し始めてしまいます。

すると何が起きるかというと、初歩のステップが曖昧なのに難しいことをさらに求められて犬が混乱する(飼い主が何を求めているのかわからない)、結果できない。でも飼い主は難しいことを何度もトライする…その度に失敗する。でも途中、何回かはたまたま成功することもあります。だから飼い主は何度もチャレンジしたくなる。

そのたまたまを上手くキャッチすることができれば学習させることも可能ですが、それってとても技術が要ることなのです。トレーニング初心者がやるべきことではないというくらい難しい事です。

わたしがレッスンで必ず、何度も、繰り返し言うことがあります。

犬のトレーニングはタイミング命

学習させるときは失敗を極力少なくし、成功させてあげる。

これは私個人の考えではありません。動物のトレーニングの世界では共通の常識です。

初歩のステップをすっ飛ばすと失敗が多くなり、犬の学習が進みません。そして初歩のステップの重要さが教え手の飼い主もわかってないので、そこからどうして良いかわからなくなります。それで失敗を繰り返し、できない、またできない…となっていく。

具体的な例でいうと、

「マテ」を覚えさせたいとします。飼い主さんの完成型の形は、公園でたくさんの人が行き交う中でもマテって言ったら待っていてくれること。飼い主が離れて見えなくなっても、近くを子供たちが走り回ていても待っていてくれる、という状態を求めています。

ここでやりがちなのは、いきなり外で練習し出すこと。

私が初歩のステップを教えます→「そうじゃなくて、家の中でこの形でこれを目標にスタートしてね」

この初歩の目標が6割くらいできるようになると、またこれを外でやりたがります。すると失敗する。

なぜできないのかわからない、練習したけど上手くいきません…となる。

ステップを飛ばしすぎなのです。6割程度じゃまだまだ学習としては曖昧です。一つのステップを10回中9回は確実にできるようになったら次のステップに進めます。

トレーニングが応用編になってくると、犬が求めていることをできなかった場合は飼い主が自分でどうすべきか考える必要が出てきます。私に「前のステップに戻って」と言われても、ステップを飛ばしすぎていると、壁に当たったときにどこに戻ればいいのか判断できないのです。だって途中のステップを蔑ろにしているから飛ばしたところが見えない。いつまでも「どうしたらいいですか?」と誰かに聞くしかなくなります。

もっと別な事で例えていうなら、ステップを飛ばしすぎている状態というのは

足し算引き算ができないのに因数分解の問題を解こうとしているような状態、です。

できなくて当たり前ですよね。でもたまたま「2」と「3」とか解答したら当たることもあるもんです。でも実際はほとんど解けなくて、足し算って何?引き算って何?このマーク「×」何?っていう世界にいるわけです。

算数に例えた話が一番わかりやすいと思うのですが、

犬に何かを教えるとなったときにこれを理解できない人が多数います。

何度同じことをやっても犬に教えることができない。

もしこういう思いがある場合は、もう一度動物の学習の仕組みを振り返ってみてください。

テキトーな階段飛ばしではなく、ステップを着実に踏むことの重要性を理解する必要があります。

調布市の女性ドッグトレーナー・出張ドッグトレーニング inucco(いぬっこ)

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